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四段活用の「かく」について
副題
下二段活用の「かく」との比較をとおして
著者名
大谷 伊都子 (OTANI Itsuko)
出版社/掲載誌名
国語学
巻号
189号
出版日
1997/6
概要
「かかる」の他動詞形である「かく」には四段活用と下二段活用がある。下二段活用の「かく」が古くから多義語としてさまざまな用法をもち、現在も下一段活用の「かける」として脈々と使われているのに対し、四段活用の「かく」は用法がかなり限定されており、しかも今日では「あぐらをかく」などの表現の中に慣用的に残っているだけである。この四段活用の「かく」は、1.「抽象事」を表す名詞を「を」格にとらない。2.「を」格に取りうる「具体物」の種類にかなり制限がある。3.「に」格を伴わない場合も多い。といった特徴があり、「ある素材を組み合わせたりつないだり結んだりして何かを構築する」というような意味を持つが、時代が下るにつれてしだいに使われなくなり、他の動詞にとってかわられるようになる。