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安部公房『赤い繭』論
副題
――その意味と位置――
著者名
田中 裕之 (TANAKA Hiroyuki)
出版社/掲載誌名
近代文学試論(広島大学近代文学研究会) 
巻号
第27号
15ー27
出版日
1989/12
概要
『赤い繭』は、著名でありながら本格的に論及されることがなかった。本稿では、これまでことごとく等閑に付されてきた作品の最終場面までを射程に入れて、作品主題の明確化を試み、本作品が非社会的・非能動的な、いわば巣ごもりの姿勢の否定を主題とした作品であることを論じ、そこには、安部が戦中から戦後にかけて耽溺したリルケとの決別の意味も込められていることを指摘した。