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学術データ詳細
『燃えつきた地図』における曖昧さの生成 
著者名
田中 裕之 (TANAKA Hiroyuki)
出版社/掲載誌名
国語教育論叢(島根大学教育学部国文学会)
巻号
第6号
107ー120
出版日
1997/3
概要
インタビューや座談会で安部が失踪の有する可能性に言及する時の、やや楽観的ともとれる口振りと、作品『燃えつきた地図』における失踪の描かれ方との間には、かなりの落差がある。本稿では、作品中に登場する青空と闇、作品全体にちりばめられた欠落や穴のイメージとそれに繋がる下降運動の存在などが、最終場面における主人公の失踪者としての新たな出発に、曖昧な両義性を付与すべく機能していることを論じた。