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グリム童話「灰かぶり(シンデレラ)」
A Subversive View of Conventional Ideas about 'Cinderella'
副題
―固定観念を覆す解釈― A Study of Grimms' Fairy Tales from the Perspective of Gender Studies―
著者名
野口 芳子 (NOGUCHI Yoshiko)
出版社/掲載誌名
吹田市立千里山・佐井寺図書館
出版日
2019/2
キーワード
グリム童話 シンデレラ 慣習法 固定観念を覆す ジェンダー
概要
吹田市立千里山・佐井寺図書館で開催された講演会(2時間) グリム童話とはグリム兄弟が創作したものではなく、伝承を収集したものである。そこには西洋中世、近世近代と様々な時代の価値観がメタファーとして混入されている。メタファーを解読すると、秘められた謎が判明し、固定観念を覆す解釈が可能となる。ファンタジックな「ガラスの靴」ではなく、豊かな稔り(小麦の穂の色)を象徴する「金の靴」で、灰かぶりは王子を翻弄する。左の靴を階段に残したまま走り去るのは、「靴を渡すことは、所有権の移譲を表す」という慣習法や「左の靴が脱げる女は出産できる」という諺を熟知していたからである。メタファーで出産能力をアピールし、王子に所有されることを確信する灰かぶりは、余裕で王子の出現を待つ。なんと賢く強かな娘であろう。慣習法の知識を駆使して道を切り開くグリムの灰かぶりと、救済者の出現を待つだけのディズニーのシンデレラとでは、自力本願か他力本願かで大きく異なる。