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グリム童話の秘密
Secrets hidden in Grimm's Fairly Tales
副題
ー「灰かぶり」「白雪姫」を中心にー Focusing on Snow White and Cinderella
著者名
野口 芳子 (NOGUCHI Yoshiko)
出版社/掲載誌名
姫路文学館
出版日
2019/12
キーワード
グリム童話 シンデレラ 白雪姫 メタファー 謎解き
概要
ディズニー版の「シンデレラ」とグリム版の「灰かぶり」とでは、主人公が幸せを獲得する方法が大きく異なる。ディズニーでは妖精が魔法の力で用意してくれるが、グリムでは灰かぶりが父親に要求した「若枝」の力で獲得する。慣習法では枝を土に埋めると「遺産の譲渡と相続の完了」を意味する。メタファーで暗示されている秘密を読み解くと、西洋昔話である「灰かぶり」や「白雪姫」には慣習法や成人儀式が重視されていた中世の人々の生活が見えてくる。ファンタジックな「ガラスの靴」ではなく、「金の靴」では王子を翻弄する灰かぶりは、消極的で他力本願な女性ではなく、積極的で自力本願の賢い女性である。つまり近代の消費者としての女性ではなく、中世の生産者として逞しい女性なのである。