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『夏の夜の夢』試論
副題
少女が会話をやめた理由
著者名
上村 幸弘 (UEMURA Yukihiro)
出版社/掲載誌名
文学と評論
巻号
第2集第10号
出版日
1993/12
概要
『夏の夜の夢』に登場するハーミアとヘレナは、第1幕から第4幕に至るまで、愛や惜しみについての個々の考えを率直に表現できる快活な少女たちである。ところが、最終幕になるとこの二人は台詞を奪われ、一切、感情表現の機会を閉ざされる。この現象はこれまであまり議論の対象とされてこなかったが、最近の批評の流れからみても、マスキュリニズムによる言論封じという解釈がそろそろ出てきてもよさそうな時期であろう。本稿は、少女たちの沈黙に至るまでの心理的側面に焦点をあて、第5幕における個々の沈黙に対して、演技としての沈黙という観点からのアプローチを試みるものである。(pp.118-131)