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『うたかたの記』論
副題
――「ロオレライの図」の完成・未完成をめぐって――
著者名
田中 裕之 (TANAKA Hiroyuki)
出版社/掲載誌名
近代文学試論(広島大学近代文学研究会)
巻号
第29号
1ー13
出版日
1991/12
概要
森鴎外『うたかたの記』の終末部において、跪く主人公巨勢の前にある「ロオレライ」の図は完成していたのか否か。この点に言及した論者の多くは未完成説を採っている。本稿では、「ロオレライ」のモデルであるマリイを失った時に巨勢が抱いたであろう心情や、作品終末部に窺いうる巨勢の狂気、更には巨勢を目撃する友人エキステルの役割などから、「ロオレライ」の図は完成していたと結論づけた。