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スウェーデンの育児休業制度の展開
Recent Trends of Parental Leave in Sweden and Its Implications in Japan from a Gender Equality Perspective
副題
-ジェンダー平等の視点からの考察-
著者名
寺本 尚美 (TERAMOTO naomi)
出版社/掲載誌名
梅花女子大学心理こども学部紀要
巻号
第4号
出版日
2014/3
概要
本論文は、スウェーデンの育児休業制度をジェンダー平等の視点から考察し、日本の育児休業制度への政策的含意を検討したものである。育児というケアを社会保障制度において評価する仕組みとして、所得保障付きの休業制度がある。しかし、育児休業制度は、ジェンダー平等の視点からみると諸刃の剣である。母親だけが長い休業を取得することは育児役割の母親への固定化につながる危険性が高いからである。スウェーデンにおける育児休業の取得状況は、取得人数でみると父母間に大きな格差はないが、取得日数でみると父親は母親に比べてはるかに短い。そのため、2000年代以降、父親が育児にもっと時間を費やすことができるよう、育児休業の父親への割当期間の延長、育児休業を取得したことによる職場での差別の禁止、男女の均等な育児休業の取得を促す平等ボーナス制度の導入等の改正が相次いで行われた。本論文では、その取得が極端に母親に偏っている日本の育児休業制度の現状を鑑み、スウェーデンの経験から、日本においても早急に父親の育児休業の取得促進のための措置を導入する必要性を指摘し、その具体的な内容を提案している。